新潟生まれ新潟在住、ゲームシナリオライター兼小説家。
主に女性向け恋愛ゲームを製作。
小説は恋愛からファンタジー、歴史まで幅広く執筆中。
「こんにちは」
少し顔が赤い。昼酒でもしていたのだろうか。
「トシマさんですか?」
「ごめん、同僚が隣にいるんだ、だから早く入って、入って」
「あ……出張か何かですか?」
閉じられたドアの中で部屋を見渡すと、トランクやスーツの上着などが散乱している。
「うん、皆で出張に来て、ついさっき仕事が終わってね。このまま帰るのもつまんないから、って思って」
「よろしくお願いします、わかなです」
ぺこりと頭を下げる。トシマさんはそんな私を見て、照れたように頭をかいた。
「写真で見て選んだんだけど、写真より可愛いね」
「ありがとうございます」
「で……さ。俺、こういうこと実は初めてなんだよ。同僚はほかの店の女の子呼んだらしいんだけど。何からすればいいのかな?」
ひとまずプレイ料金をいただき、一緒にお風呂に入った。
(恋人にするみたいに……恋人に……)
慎平や諒くんにしていたことと同じ。それにちょっとだけ、サービスが入っただけ。
抱きしめて、キスをして、見つめ合って。
全身洗ってあげて、フェラをして。
「うわ……すっげえ、エロい……」
上目遣いに見つめてあげると、トシマさんはうっとりした声で私の両手をつかんだ。
「わかなちゃん、俺、イキそう」
「イキたいですか……?」
「うん、イッていい?」
「いいですよ」
ひときわ強くペニスを吸いこむと、短い悲鳴と共にトシマさんの腰が痙攣した。
「うっ、うわ……っ、イッ……!」
苦い液体で口内が満たされる。どろりとしたそれを見せつけるように掌の上に出してあげると、トシマさんは腰をおろして私と視線を絡ませた。
「すごかったよ、すっごい気持ちよかった」
「ふふ」
「ベッド、行こう」
そのままベッドで二回戦。
「今度は俺の番」
「え……そんな、いいです」
「いいからいいから。どこが気持ちいいの?」
そう言って、全身に軽くキスをしてくれる。知らないひとの手で気持ちよくなるのも慣れた。意外と、順応性のある体質なのかもしれない。
「ふふ、背中かあ」
「あっ……」
首筋を舐められて、声が出てしまう。
トシマさんが背中に回り、後ろから乳房を揉まれた。
「や……なんか、えっち……」
「見えないところからされてると、感じるでしょ?」
「やん……」
鼻のかかった声が出る。トシマさんは決して無理なプレイをしようとはしなかった。
「こういうとこって、本番禁止でしょ?」
「……はい」
「じゃ、どうやってわかなちゃんはイクの?」
トシマさんは興奮してきたのか、瞳が潤んできている。モノも再びむくむくと大きくなっていた。
「指……とかで」
「じゃあ、入れないからさ……素股とかいうの、してよ」
「分かりました」
「……ちょっと、いじってもいい?」
私をベッドに沈めて脚を開かせると、トシマさんは私のクリトリスにむしゃぶりついてきた。
「んっ、ん……っ!」
「いい匂い、わかなちゃん……」
唾液を使ってしゃぶるように音を立てて吸ってくる。
(あんまり、正直気持ちよくはないけど……こういうとき、演技って要るのかなあ?)
恋人同士のとき、どうしていたか考えた。
(演技……してたけど)
今、演技よりも必要なものは……。
「トシマさん……トシマさんの上でイキたいな……私」
「えっ、あ……うん」
少し媚びた声で拗ねると、あっさりとトシマさんは主導権をこちらによこしてくれた。
「仕事で疲れてるでしょう?」
「そうだけど、でも」
「いいんです、私にやらせて」
今度は私がトシマさんの全身に軽くキスをして、マグロ状態になっている彼の上に乗っかった。
ローションを彼のモノと私のアソコにたっぷり塗り、モノが入らないように片手で押えながらアソコをこすりつける。店から教わった騎上位素股だ。お客さんのモノが反っていると間違って入ってしまうので、要注意の体位だけど、これだとクリ派の私も一緒にイケる。
「わかなちゃんっ、……イクっ……!」
「はいっ……!」
――シャワーを浴びてローションを洗い流していると、トシマさんがそっと私を抱き寄せてきた。
「ねえ、わかなちゃん。今度また出張でこっち来たら、呼んでもいい?」
「よろしくお願いします」
こういうときの笑顔も大事。
「すごい可愛いなあ。俺の彼女にならない?」
「また、呼んでください」
「……そうだね、またね」
トシマさんはひどく残念そうな顔をしたが、最後は笑って帰してくれた。
その日は三本こなして、帰宅した。
天野さんが、まだ身体が慣れていないのに一日に何本もこなすのはあとあときつくなるから、とアドバイスしてくれたというのもある。それに、本入店となったので今日までの稼ぎで十五万、きっちり耳を揃えて返済もできたので、今日はひとまず帰って休むことにしたのだ。
ドライバーさんに家の前まで送ってもらって、ひとりになる。
「風俗って、悪くないかも」
みんなが綺麗だよ、可愛いよって言ってくれて。
気持ちいいよって感謝されて。
彼女にならない? なんて誘われて……。
(今までの私とは違うんだ)
おとといまでの自分がひどく色あせて見えて、そうしたらホスト通いや嫉妬深い恋人のことなんてどうでもよくなってきた。
(早く借金返して、束縛される生活から抜け出そう)
◆
次の出勤日。
「わかなさんはこれで常勤になったわけだけど、シフトどうする?」
「あ……そうですね、決めなくちゃですね」
自分としてはたくさん稼いで、早く借金を全額返済したいところだ。思ったことをそのまま伝えると、天野さんは返済計画を立てようと言ってくれた。
「月どれくらい稼いで、どれくらい使って、どれくらい返すのか、ちゃんと考えようか」
「そんなことまで考えてくれるなんて」
「店としては気持ちよく働いてくれることが一番だからね。それくらいなら、力を貸すよ」
「天野さんに出会えてよかったなあ、私」
「こちらこそ、わかなさんみたいな逸材を見つけてこれてよかったよ」
月に稼ぐ金額としては、目標三十万。昼間の稼ぎもあるし、目標額を毎月達成すれば、十ヶ月で全額返済できる計算になる。
「わかなさんならもっと稼げるよ」
「……そうですか?」
(欲張ってもいいのかな……)
「週三以上で入ってもらいたいな……最初の一ヶ月は、せめて。わかなさんは絶対人気が出るから、そうしたら予約だけでもやっていけるかもしれないし」
「そういうものなんですね」
「予約が入ったときだけ出勤、なんていう子も多いよ」
「ふーん」
そんなわけで、週三のシフトを組んでもらい、定期的に出勤することが決まった。
(稼ぐぞー!)
私の風俗嬢としての経験はまだまだ浅かったけれど、だからこその勢いがあった。
そしてこれから、風俗嬢としてキャリアを積む出来事にどんどん出会っていくことになる――。
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第6話 前編は6月18日公開です
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