第10話 - マジカル☆フ~ゾク嬢アンジェり~な - いちご文庫

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小説タイトル

作者情報

  • 松えみる

    アンダーグラウンドシティ・ベルリン在住。
    世界各地から集まった変人たちに囲まれ穏やかでない毎日のなか執筆。小説のほか、性に対してオープンすぎるこの街で繰り広げられるセックスパーティやセックスワークショップなどへの潜入取材依頼も受付中。
    X(SNS)→https://twitter.com/matsuemiru

マジカル☆フ~ゾク嬢アンジェり~な

第10話

小説挿絵 アンジェは今までのどのお客よりも丁寧に泰司を攻めた。今は69の体勢で泰司のアナルを舌で攻めながら手で睾丸を転がし、時折じらしつつ亀頭にも触れる。昔、泰司はアナル攻めを恥ずかしがって「やらなくていいよ……」と言っていた。しかし、未開発の部分だからこそ開眼したときの快感はより大きかった。
アナルをアンジェの分厚い唇でねっとり塞ぐように吸い付き、舌をくちゅくちゅと出し入れする。よだれが垂れるのも構わずに、もっと奥へ、じゅるじゅるともっと激しく……
泰司はクンニを忘れるほど快感にうめき始めた。
そして喘ぎ声の合間にふいに「あぁっ……佳子……!」とつぶやいた。
(え?!)
驚いたアンジェは思わず泰司の顔を覗き込むが、彼は固く瞼を閉じて快感に身を委ねている。
ということは……
(泰司……あたしのこと……想ってるの?!)
彼はセックスの最中に快感が高まると必ず「佳子」と、名前をつぶやく人だった。
友人は『浮気相手の名前とか言われたら最悪ね! でもすぐ分かっていいわね』と言った。しかし他の女の名前で呼ばれたことは一度もない。

本番行為は嬢として禁止されている。
「泰司……」
ペナルティで辞めさせられてもいい、
「ねぇ……入れて……」
「え?」
むしろ、これをアンジェとして最後の仕事にしよう。
「おちんちん……入れて欲しいの……!」
もうこの気持ちは止められない、
「い、いいの?」
変身が解けてもいい、
「……いいよ」
バレてもいい、
「分かった」
この人と一緒にイキたい!

泰司はコンドームを装着するとアンジェの両脚を大きく開かせ、ペニスの根元を手で支えると、ズブリとアンジェのアソコに挿入した。
「はぁんっ!」
プレイの最初からぐちゅぐちゅに濡れていたアンジェは一差しで快感に身をよじった。前戯ではリードしていたものの、本番となるともうダメだ。
「あぁ……すげーイイよ……」
泰司も眉間に皺を寄せ、高まっていく快感に必死に耐えている。彼の激しい腰の動きにアンジェのおっぱいも激しく上下に揺れている。
「あん……やだ……こんなすぐ……に……」
姿は違えど久しぶりの夫とのセックスだ。色々な体位を楽しみたかった。しかし正常位で挿入されて、アンジェは既にイキそうだった。
「……はぁっ……あぁっ!」
くびれたウエストを掴まれ更に深いところを突かれる。パン! パン! という音が部屋に響く。そのリズムは更に早くなり、
「やだ……! そんなっ……あ、イク……………………あぁっ!!!」
快感が脳天を突き抜けて頭が真っ白になり身体全体がどこかへ飛んでしまったようだった。
すると泰司が「俺も……もう……!」と言いながら更に激しくピストンし始めた。絶頂が近い。するとその勢いで硬いペニスがアンジェのGスポットを、一度イッたあとの無防備なソコを、思い切り突いた。
「ひゃあぁぁ~~~ん!」
意識が戻る前になんと二度目の絶頂。一度目の絶頂が10なら今回は150くらいの快感レベルである。
宇宙までぶっ飛んだ。
どこか遠くでガラスの割れるような音が聞こえた気がしたが、そんなことに構っている余裕はない。

同時に泰司も、まだピクピクと痙攣しているアンジェの身体の上で果てた。
「……すごすぎる……よ……」
はぁはぁ、と荒い息で泰司が言った。
「うん……あたしも……最高だった……」
「ありがとう」
泰司がアンジェを抱き締める。
身体を重ねたままお互いしばし余韻を味わう。
「……ねぇ、ひとつ聞いていい?」
しばらくしてアンジェは気になっていたことを泰司に尋ねた。
「なに?」
「もし気分を悪くさせたらごめんなさい……。さっきプレイ中に……佳子って言ったでしょ? あれって……」
「佳子は俺の奥さんだよ。あっ、こちらこそ気分悪くさせたなら謝るよ」
「違うの! ただ……気になって……」
泰司の目がふと真剣になった。
「君にこんな話するのどうかと思うんだけど……俺、奥さんとはセックスレスでさ」
ずきん! とアンジェの胸が痛んだ。
”セックスレス”その言葉が胸に突き刺さる。
「けど奥さんを愛してない訳じゃない。結婚20年だけど今でも変わらず愛してる。けど、こうやって風俗ではできても……奥さんには立たないんだ。そういうの医学的にも認められてて”妻だけED”とかって言うらしい」
「え?!」
泰司の意外な告白に、アンジェは驚きを隠せない。
「専門医にも診てもらったことあるんだ。奥さんには内緒で。そうしたら、妻を大切にすればするほど相手を神聖化してしまって、欲望の対象として見れなくなることがあるらしい。男にとってのセックスってすごく本能的で狩猟的な感覚だから、相手を汚したいとか無理矢理したいみたいなトコもあって……でも大切な妻にそんなことはできないってペニスが立たない……そういう仕組みらしいんだ。これって皮肉だよな」
「し、知らなかった……」
そんな、理由があったなんて。
あたしを愛してないとか、冷めたんじゃなかった。
むしろ、ずっとずっとあたしは愛されていたのだ。
「やっぱり精神的なことが大きいみたいで、夫婦でカウンセリングとか薦められたけど……やっぱり奥さんには言い出せなくてさ」
「言ってよ……」
「え?」
「いや、言ってあげて奥さんに! ふたりでなら絶対解決できるよ! 違う、ふたりでなきゃ解決できないことだよ!!」
今度はアンジェの真剣さに泰司が驚く。
「……そう、だな」
そう言うとなぜか笑顔になった。
「俺、この話したの君が初めてだったんだけど……なんかすげー気分が軽くなった。ありがとう」
(泰司……! あたしの方こそ……)
「じゃ、俺シャワー浴びてくるよ。一緒にどう?」
泰司がベッドから立ち上がって言った。
「ありがとう。でもあたしは後で……」
アンジェは横になったまま答える。シャワーを浴びたいのはやまやまだが、でもまだ動ける状態じゃない。全部の体力と気力を絶頂と共に使い果たしてしまったのだ。それに、今は胸もいっぱいだ。
「そっか。じゃあお先に」
そう言ってバスルームに向かう泰司の後ろ姿をぼんやりと眺める。
思わぬことがきっかけで泰司の本心を知ることができた。
(これで……またやり直せる。やり直してみせる)
”人生は小説よりも奇なり”とはこのことだ。
(それにしても……すごい……良かったなぁ~……)
久々の夫とのセックスを思い出し、ひとりニヤけるアンジェ。そしてそっと自分の指を下半身に伸ばす。
「ぁんっ!」
中指の先で少しクリトリスに触れただけでその気持ち良さに全身に鳥肌が立った。
(……2回も連続でイッちゃうなんて人生初かも……)
しかしそのままクリトリスをいじり続けていると簡単にもう一度イッてしまいそうだ。
ふとアンジェの頭に違和感がよぎった。でもそれが何か分からない。
(何だろう気になる……でも……)
シーツの上で身体をくねらせながら快感の余韻をひとり味わい続ける。
まずはこの欲求を満たすのが先。女は貪欲なのだ。
(いいよね~……えへへ!)
泰司はまだシャワーを浴びている。
アンジェは前に、魔法のピンクローターがバイブレータに進化したのを思い出し、この隙にオナニーしてしまおうと決めた。
(確かローターはいつも枕元のバッグに……)
寝転がったまま端まで移動してベッド脇を覗き込む。
「え!?」
アンジェは思わず半身を起こした。
そこには砕け散った魔法のピンクローターがあった。
サーーーッ、という音が聞こえるような気がした。頭から血が引いていく音だ。血だけではない、さっきまでの性的興奮も欲求も一気に冷めた。
(あ……! まさかあの時……)
そう言えば2回目の絶頂の時、ガラスか何かが割れるような音が聞こえた気がした。
「こ、これだったの……?!」
アンジェはベッド脇にしゃがみ込みその欠片を手に取る。
「どうしよう…………ていうか……あ、あたし!」
さっきの違和感の正体にやっと気が付いた。
「あたし……イッたのにアンジェのままじゃん!?」
自分の身体をまじまじと見る。
「なんで?!」
一度ならず、二度も絶頂を迎えた。なのに、変身解除されていない。
「……落ち着け……落ち着けあたし……!」
アンジェは必死に自分にそう言い聞かせる。
「原因はともかく……考えるのはあと!」
シャワーの音がやんだ。
泰司が戻ってくる。
(やばい! えーとえーとそうね、まず時間が来たらふつーに店に戻っていつもみたいにオナニーで変身解除、それでキーを呼び出して……)
テンパる頭で何とか対策をまとめようとするも、
「って、あーーーーー!」
そのオナニーに使う魔法のピンクローターは砕けて床に転がっているではないか!
「どーした?」
アンジェの大声に泰司がバスルームから頭を出しこちらを覗き込む。
「なななんでもな~いです☆」
咄嗟に取り繕うアンジェ。
「そっか」
そう言って泰司は再びバスルームへと引っ込んだ。
アンジェはとにかく砕けたローターの破片を集めてバッグへとしまう。
制限時間はあと15分。シャワーを浴びて身支度を整えたら泰司とはお別れだ。


「アンジェちゃんありがとう。近いうち奥さんとも話してみるよ。じゃあ」
泰司はそう言って料金を払い、エレベーターまで見送ってくれた。
夫とセックスをして代金をもらっているという複雑な状況のはずだが、アンジェの頭は壊れたローターと今後についてでいっぱいで「ありがとうございます。またお願いします」と、お決まりのセリフを言ってすぐにエレベーターに乗り込んだ。
「……どうしよう……」
もし、このまま元の姿に戻れなかったら。
もう泰司にも、優香にも会えない。
心配してきっと捜索願が出されるだろう。
でも、”佳子”は誰にも見つけられない。二度と見つからない。
それとも、「探さないで下さい」と書き置きを残し蒸発したことにするか……
「そんなのイヤ!」
やっと夫の本心を知ってやり直せそうだったのに。バラバラだった家族がまた”家族”になりそうだったのに。
「キー! 助けて…!」

店へ戻ると店長が「奥の部屋にキーさんが来てますよ」と言うのでアンジェは取るものも取らず駆けつけた。
「キー!」
ばたん! とドアを閉め、ソファに座って栗きんとんをもぐもぐ食べているキーに駆け寄る。
「佳子しゃん……何があったんでしゅか?」
アンジェの青ざめた表情にただならぬ状況だとキーも悟ったようだ。
「どうしよう!! 魔法のピンクローターが壊れちゃったの!! 割れちゃったのよー!!」
バッグからローターだったモノの残骸を取り出しテーブルに並べる。
「ひゃ……」
キーが言葉を失う。
それを見てアンジェは更にテンパる。
「え?! ちょっとキー! こ、これ直せないの?! ど、どうやってあたし元の身体に戻ればいいの?!」
「ボクもこんなことは初めてでしゅ……」
小さな声でキーがつぶやいた。
「そんな!」
目の前が真っ暗になった。
家族と二度と会えない。
そんな悪夢が現実味を帯びてきた。
「そんな……そんな!」
20数年前、泰司と出会った時のことから結婚そして出産、成長していく娘と3人で過ごした長い年月の思い出がフラッシュバックする。そして、さっき数ヶ月振りに愛しあったこと。『奥さんを今でも愛している』という泰司の言葉。
「そんなのイヤ! あたしは……あたしは家族と一緒でなきゃ生きていけない!この世で一番……何よりも……何よりも大切なんだからーーーー!!」
涙がどっと溢れてきた。
「佳子しゃん……」
キーが震えるアンジェの両手を取った。
こぼれる涙と共に”佳子”の心が叫んだ。
「戻りたい! おばさんでいいの! 若くてキレイなアンジェじゃなくていい! 家族の元に帰りたいよーーーー!」
「ボクのありったけの力を佳子しゃんに……!」
手を取り合い、おでこを重ねたふたりを眩しい光が包んだ。
「……!!」
眩しいけれど柔らかくて温かい光だ。
ゆっくりと目を開くと――



「あ、ママお帰りー! 遅かったじゃん、今日はなんとパパの方が先に帰ってきてるんだよー」
「お帰り……佳子」
玄関を開けるとリビングから娘と夫が出迎えた。
「ただいま~ごめん遅くなっちゃったー! みんなお腹空いてる?」
「超空いてるー……って何ソレ?」
優香が佳子の脚の後ろにいるピンク色の何かを見つけた。
「あ、気付いた? コレさっき道で拾った捨てトイプー……なーんて☆」
「初めましてトゥインキーでーーーーっしゅ! 今日からお世話になりまーーーしゅテヘ☆」
出た、得意のテヘペロ。
「しゃしゃ喋ったーーー!!」
「しゃしゃ喋ったーーー!!」
優香と泰司が同時に叫ぶ。
「今日からうちの居候よ。口は悪いしたまにセクハラしてくるけど根はいいヤツだから!」
「そーーでーーっしゅ! ヨロ☆」
「うわーーー!!」
「うわーーー!!」

アンジェは無事”佳子”の姿に戻った。
佳子が心から家族を想う気持ちと、キーが持てる全ての魔法力を佳子に注いだ結果、奇跡が起きたのだ。
しかしキーは魔法が使えなくなり”フ~ゾクの国”へも戻れなくなってしまった。責任を感じる佳子だったが、本人は「また女のコの絶頂のパワーを集めればいつか魔法力は戻るでしゅ」と意に介していないようだ。それどころか「これは個人的な仕事でしゅからね……今度は好みの女のコをスカウトするでしゅ……ウヒョヒョ☆」と何か違う意味で楽しそうであった。

「あのさ、佳子」
キッチンで夕飯の支度を始める佳子に泰司が言った。
「なに?」
心臓が予感に、とくん…と高鳴る。
「今週末、何か予定ある?」
「と、特にないけど……」
「じゃあ……ふたりで出掛けないか? ……デートしよう。久しぶりに、ふたりで」
「泰司……!」





***********

かつて東京・新宿に伝説の風俗嬢がいた。
アンジェという名のその風俗嬢は魔法のようなテクニックで世の男性を虜にしたという。
皆が言う。
「彼女は女神だ」「彼女は理想そのものだ」
噂は瞬く間に広まった。
しかし、しばらくするとアンジェ自身が魔法で消されてしまったかのように、突然いなくなった。

失意が街を包んだ。
行き場をなくした男達。
日本経済の一端を担っていると言っても過言ではない風俗業界に、初めて翳りが見えた。

そんな時、ひとりの女が東京へ降り立った。

その右手には、キラリと光る魔法のピンクローター。
彼女の名は―――




おしまい

■注意■

  • ●この小説はすべてフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
  • ●この小説の著作権は「いちごなび」にあり、無断転載(部分引用含む)は禁止です。
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