第5話 - マジカル☆フ~ゾク嬢アンジェり~な - いちご文庫

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いちごなびからの応募でもらえる、入店応援金15,000円
小説タイトル

作者情報

  • 松えみる

    アンダーグラウンドシティ・ベルリン在住。
    世界各地から集まった変人たちに囲まれ穏やかでない毎日のなか執筆。小説のほか、性に対してオープンすぎるこの街で繰り広げられるセックスパーティやセックスワークショップなどへの潜入取材依頼も受付中。
    X(SNS)→https://twitter.com/matsuemiru

マジカル☆フ~ゾク嬢アンジェり~な

第5話

小説挿絵 「お姉さーん! ちょっといいですかあ~?」
「……」
「あっ!久しぶりじゃ~ん? あれー覚えてない? ホラ、ウチで1日体験する約束だったっしょ?」
「……」
「どっこ行くのー? ねえねえ! 今ヒマ? 俺はヒマ! ちょっと付き合ってよー」
「……」
「お金欲しくない? 1ヶ月で50万稼げるよ? いやお姉さんなら100はいけるかなー!」
「……」
「マジかよ! 超タイプっす! 名前は? 年は? もしかしてモデル? フーゾク興味ない?」
「……」
「おいおい、そんな格好して俺のこと誘ってんの? なあ?」
「……」
「お願い! 1発ヤラせて! 1回でイイ! 百歩譲ってフェラだけでもいい! お願~~い!」
「……」
「なになに? 何か怒ってる? いやーでもそんな顔で踏まれてみた~~いっ!」
「……」
脚や胸や顔に視線を感じながらアンジェは歩調を早める。
(あと20メートル……15メートル…ったくもお~……)
アンジェに変身できるようになってからすぐは、街で「お姉さーん!」と呼ばれるだけで嬉しくて褒められてはテンションが上がっていたが、近頃はそのしつこさに辟易気味のアンジェである。
特に、出勤時に必ず通らなければならないこのショッピングモールはものすごい数のスカウトがひしめき合っていて、通り抜けるのに一苦労なのだ。
「おねえさ~~~んっ!」
(って、あんた実際はあたしの息子でもおかしくない年齢なんだからねっ!)
まとわりつく茶髪のいかにもホスト風な男子を鼻で笑ってやり過ごすと突然、
「おっばさ~~~~んっ!」
至近距離からのおばさんコール。
「……お、おばさ……!」
犯人は分かっている。
アンジェの姿に”おばさん”と言えるのは……
「出て来なさいキー!!」
周りを見渡して小さく怒鳴るアンジェ。
「はーい」
ポムッ! と姿を現すキー。アンジェに抱きとめられると、他の人に見られてはまずいとぬいぐるみの振りをする。
「アンジェしゃん元気でしゅか~? 心配で様子を見に来たんでしゅ」
アンジェの腕の中で固まったままこっそり話すキー。
「あ、ありがと。おかげ様で元気だし、仕事も楽しいわよ。……その為にわざわざ来てくれたの?」
「そーでしゅ☆」
今のこの充実した生活は、キーが目の前に現われたあの日から始まったのだ。
忘れがちだけれど、キーには感謝しなければならない。

「わー! 何だコレかわいいー! けどお姉さんの方が100倍カワイイけどーねえねえ今ヒマ? ちょっと話さない?」
(もぉ~! しつこいなー!)
また違うキャッチの男がキーをダシに近付いて来た。
「ちょっとキー、あんた目立つからバッグに入ってて!」
「分かったでしゅ~」
バッグにごそごそと潜り込むキー。

「わっ!」
顔を上げるといきなり背の高い男が立ちふさがっていて、アンジェは思わず立ち止まる。
「こんにちは」
黒いスーツを着て、少し長めの髪を後ろで1つに結んだ男。くっきりした二重の目と高い鼻、九州男児系の濃い顔は、一度見たら忘れられない。
(……またコイツ!)
それもそのはず、アンジェはこの1週間、この男ー安藤に毎日毎日しつこくスカウトされて続けていたのだ。
しかもAV出演。
(AVなんてやるわけないでしょっ!)
スカウトはきっぱり断るに限る。
「どいて下さい」
出来る限り強く、怒りを込めて、目を真っ直ぐ見て言う。
「どきません」
無表情にしれっ、と答える安藤。
(う、うざ~~~!)
アンジェが右に行こうとすると阻まれ、左に行こうとすると阻まれちっとも前に進めない。
「ちょっっとぉ……!」
(ムカつく~~~!こういうの小学校の時の通学路以来だわ!)
低レベルな嫌がらせに憤慨し、昭和◯○年代の出来事まで思い出してしまうアンジェ。
安藤の一見イケメンなその外見も逆にムカついてくる。

「今日こそは、逃がしませんよ」
「ちょっと……やめて!」
安藤はアンジェの肩を抱え強引に引っ張って行く。
アンジェは小声でバッグに収まっているはずのキーに助けを求める。
「キー! こいつどーにかしてよ……って、いない!」
バッグは既にもぬけの殻であった。
しかもお店への差し入れとして買ったマカロン詰め合わせが消えている。
(あ、あいつめ~! これが狙いかよっ!! 感謝して損したぁ~っ)
そんなアンジェの心中も露知らず安藤は話を続ける。
「アンジェさん、一度ちゃんと僕の話を聞いて欲しいんです。この1週間あなたはいつも僕を無視していたし、ロクに話を聞いてくれたことがなかった」
「当たり前でしょ! 聞く必要ないから!」
消えたマカロンも相まって怒り心頭のアンジェである。
「じゃあ一つお聞きします」
「何よ」
「あなたはAVなんてやらないと言いますがこの業界のことどれくらい知っていますか? 知り合いがいますか? あなたの知識は全てネットなんかからの根拠のない噂じゃないですか?」
「う……」
それは否定できない。
「本当のことを知らないまま、頭ごなしに否定するのだけはやめて下さい。僕も誇りを持ってこの仕事をしているんです」
(な、何なの……)
いつになく熱い口調の安藤に、アンジェはつい呑まれてしまう。
「AVっていっても色んな種類があります。むしろアイドルのイメージビデオ程度のものだって」
安藤は話しながらどんどん歩を進めて行く。
「アンジェさんみたいな美貌なら脱がなくても例えばコスプレとか水着でもいけると思うんです!」
「はあ……」
(それなら普段メルティーマンゴーでもやってるわね……)
すると安藤がいきなりがしりとアンジェの両肩を持ち正面に向き直った。
「なっ、何よ」
「ただ、その辺でコーヒーでも飲んでただお話する、そのチャンスを僕にくれませんか?!」
「!」
その真剣な眼差しは、普段ちゃらちゃらまとわりついてくる数多のスカウトマンとは一線を画していた。
アンジェの心が揺れた。
彼も彼なりに情熱を持って自分の仕事を全うしようとしているのだ。
「……分かった……よ」
話を聞くだけならいい。
その後断れないほど弱くもお人好しでもない。
(だてに42年生きてないってぇーの!)
聞くだけ聞いてあげて、その上できちんと断ろう。そうすればさすがにこの男も諦めるだろう。
そういうつもりだった。
「マジで!? じゃあこっち!付いて来て!!」
その言葉を聞くと安藤はアンジェの腕を掴み駆け出した。
「ちょっと! 痛いってば!」

人ごみを抜け裏路地をいくつか曲がり、入ったのは雑居ビルの一室だった。
「え? 何ここ? カフェとかじゃ……」
昼間なのに薄暗く、人の気配がない。明らかに怪しげな場所だ。
「いーんだよ! ホラ入れ!」
「きゃっ!」
そう言って安藤はアンジェを中へ押し込んでドアを閉め、更に鍵をかけた。
押された勢いで足がもつれアンジェは床に倒れた。
「痛っ……」
「はははっ!」
安藤の笑い声に一瞬心臓がキュッっと縮こまった。
(もしかして…………ヤバいんじゃないの……これって!)
身の危険を本能が知らせている。
心拍数が上がる。
「ここはウチの事務所だ」
アンジェを助けようともせず上からニヤニヤと見下ろす安藤は、おもむろにジャケットを脱ぎ始めた。
「スカウトした女は全員ここでまずテストを受けてもらうんだ」
「はあ? な、何の話よ!」
床にお尻をついたまま後ずさるアンジェ。
ジャケットに続いてカチャカチャとベルトを緩める安藤は、さっきまでとは目つきや口調すら変わっている。
「商品にする価値がある女かどうか、身体で確かめてからじゃねえと企画は通せねえからな」
アンジェの背中に冷たい汗が流れる。
(ま・じ・で・ヤバい!)
安藤の股間は既にズボンの上からでも分かるくらい盛り上がっている。
ヤツの身長は180……185センチはあるだろうか。
ネクタイを外しワイシャツのボタンを一つずつ外していく。
「ほら、お前も脱げ。服を破られたくなかったらな」
シャツの下は、スポーツをずっとやっていたような均整の取れた筋肉質な身体だった。
「それともそういうのが好きか? ん? ストッキングを破って後ろからヤッてやろうか? もう濡れてんだろ?」
「バカじゃないのこの変態! それはあんたが好きなんでしょーが! 今すぐ通報してやる!!」
転んだときに落としたバッグを掴もうとするとそれよりも先に長い脚でバッグを遠くへ蹴り飛ばされた。
「バカはお前だ」
(げーっ!)
四つん這いのアンジェ。
その前にそびえるような仁王立ちの安藤。
口喧嘩では負ける気はしないがこの体格差ではさすがのアンジェも勝てるとは思えなかった。
「ふふっ」
にやにやしながら安藤が近付く。
壁際まで追いつめられるアンジェ。
とにかく立ち上がって体勢を立て直し、隙をついて逃げ出そうとするが、安藤に左腕を掴まれ、しかも違う方の手でブラウスの襟元を掴まれ引きちぎられそうになる。
「やめてっっ!」
抵抗すると身体ごと壁に押し付けられた。
「やめねえ」
手が今度はスカートの中に伸びてくる。無理矢理性器をいじり回され、硬い安藤のペニスがごりごりと当てられる。
「イヤーーーーー!!!」
無我夢中で思い切り暴れた。
「誰か助けてーーーーー!!!」
頭が真っ白だった。
とにかく暴れて、とにかく捕まらないように、とにかくこいつから少しでも離れなければ。
ふいに、ガラガラドッシャーン!という大きな音がしてアンジェは我に返った。
「え?」
目を開くとそこには、半裸の安藤が、倒れてきたのであろう棚とそこから落ちた本やら雑貨に埋もれて「うう……」とうめいていた。
「え! ちょ、ウソ?!」
アンジェが突き飛ばした安藤は部屋の反対側まで吹っ飛び、棚にぶつかってそれもろとも崩れ落ちたようだ。どうやらアンジェに変身中は腕力、筋力共に飛躍的にアップしているようである。
(これって……)
アンジェはそっと安藤に近付く。
頭を打って脳しんとうでも起こしているのか、起き上がれないようだ。
「これって……」
それに重そうな木の置物やガラスの灰皿がぶつかった形跡もある。
「……逆にもっとヤバい!!」

……傷害…………入院…………全治◯ヶ月…………慰謝料…………

「うそぉ……」
様々なネガティブ報道ワードがアンジェの頭をよぎる。
「うぐ……あ、あんじぇ~……」
「げ! 起きた!」
安藤が薄目を開けて身体を起こそうとする。
「い、いてて……」
しかしかなり痛むのか眉間にしわを寄せまたその場に倒れ込んだ。
(ど~しよーっ! ……ん?)
ふと安藤の下半身に目がいく。
「!」
なんと安藤のペニスは元気なまま、黒いボクサーショーツを盛り上げていたのだ。
(こ、これが若さという宝なのね……!)
変なところに感動するアンジェだが今はそれどころではない。
「く、くっそぉ……」
再び起き上がろうとする安藤。
何とか穏便に事を収めなければ。
(そうだ!……イチかバチか!)
「ねぇ……ご、ごめんね、あたしちょっと力入り過ぎちゃったみたいで……」
アンジェは安藤の隣に腰を下ろし、そっと太ももに手を添える。
「痛かった……よね……」
そしてゆっくりと、付け根へ向かってさすり上げる。
「怪我させるつもりはなかったんだけど……」
耳元で囁きながら内股へ、膝裏へ、そしてもう一度付け根までゆっくりとマッサージする。Vラインに指を這わせると安藤のペニスがぴくんと動いた。
「お詫びに……気持ち良くさせてあげるね……」
そう言いながらフゥーっと耳に息を吹きかけると安藤は「あっ……」と吐息を漏らした。
(ふふ……可愛い声出すじゃない! 無抵抗の男子をいたぶるのもなかなか新しいかも…!)
ピンチを一気にお楽しみに変えてしまうのもアンジェのポジティブパワーである。さっきまでの恐怖はどこへやら、アンジェは少しワクワクしながら安藤の下着をはぎ取った。
睾丸を手に取り柔らかく転がしながら、人差し指は睾丸と肛門の間、蟻の戸渡りをなぞる。それだけで安藤のペニスは更に硬くなった。
「いやん……またおっきくなっちゃってる。すっごい硬いし……熱い……」
アンジェは唾液をたっぷりペニスに垂らす。
それを薄目を開けて見ていた安藤はアンジェの姿態にさらに興奮したようだ。
「おちんちん、触って欲しいんでしょ……こう?それともこう?」
アンジェはペニスをしごきながら握り方を少しずつ変え、安藤が一番反応した握り方で攻める。
「ねぇ、割れ目からエッチな汁が出て来てるよ……そんなに気持ちイイの? ねえ?」
「はぁ、はぁ……ああ……」
安藤はアンジェの手コキテクニックに快感をコントロールされもう言葉にならないようだ。
「でもあたしはもっと……ぐちゅぐちゅしてるよ……」
耳元で様々な甘い言葉を囁き続ける。
「あぁ」とか「ううぅ」とうめいていた安藤だが、しばらくすると堪えきれないように仰向けに倒れたまま腰をガクガク降り始めた。ペニスはアンジェの手の中で更に激しくピストン運動を繰り返す。
「ホラ、イッちゃいなさい、もう我慢できないでしょ、ん?」
「……ああっ!」
安藤の裏返った声と共にペニスの先端から勢い良く白い液体が溢れ出た。
それでもアンジェは手を離さず優しくしごき続ける。
「あん……いっぱい出たよぉーもっと、もっとちょうだい」
「あぁっ、あぁっ……!」
うめく安藤。ペニスもビクビクと痙攣し続けている。
恍惚の表情の安藤。
もう一ミリたりとも精子も、精気も残っていないだろう。
その様子を確認しアンジェはすっくと立ち上がった。
「イイ夢見ろよ☆」
バッグを拾い、そそくさと事務所を去った。


「おはようございますうぅぅ~……」
ようやくメルティーマンゴーに辿り着くと、出て来た店長がぎょっとした顔でアンジェに尋ねる。
「な、何かあったんですか?!」
「え?……あ、そうか」
安藤と格闘したときに髪は乱れに乱れ、ブラウスのボタンが2個ほどちぎられていたのだ。
遅刻してはならないと慌てていたのでそれらを直すのも、変身して服を変えることも忘れていた。
「あははちょっとね……悪質スカウトをひとり成敗してやりましたわ……ほほほ……」
「悪質スカウト?!」
驚いた店長の大声に待機中の女の子たちが集まってきた。
「アンジェさん、それってもしかして……」
「背が高くて一見イケメン風な……」
「AVスカウトの安藤?!」
声を揃えて言う。
「そう、そいつ! みんな知ってるの?!」
どうやらこの界隈では有名らしい。
「アイツ超ムカつくんですよ! 真面目ぶって最初は下手に出ておいて!」
「そうそう! お願いだから僕の話を聞いて下さい、とか何とか言って!」
「事務所に連れ込まれたら最後、レイプされちゃいますよ! もしかしてそれを隠し撮りして……キャー!」
「やだ怖いー!!」
多かれ少なかれ、みな被害にあっていたようだ。
(まったくなんてゲスいヤツなの……! みんなに同じ手口使ってたのね!)
「みんな、もう大丈夫よ! 安藤はあたしが十分痛めつけといたからね! しばらくは立ち直れないはずよ!」
「アンジェさんすご~い!」
「どーやったんですか?」
「コレコレ☆」
二の腕をぽんぽん叩くアンジェ。

ここでも可愛い娘たちを守る母親な気分のアンジェは、同僚の女の子たちからの信頼も得て、名実共に店のトップ、そして精神的存在へとなっていくのだった。

「あ、みなさーん。今日はウチの特別顧問から差し入れが届いてますよ~どうぞ食べて下さい」
店長が包みを持ってやって来た。
それは、見たことのある包装紙。
「あっ…! それあたしのマカロン…!!」
どうやら和菓子党のキーにマカロンは合わなかったようである。

<第6話に続く>


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第6話は1月6日公開です

■注意■

  • ●この小説はすべてフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
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