2024/02/26 10:19

俺はスタジャンの内ポケットに手を滑らせた。
ひんやりとした感触が伝わる。
手探りでグリップを探す。
それの場所を捉えたら、しっかりと握り込む。
あつらえた木製グリップがじんわりと出た掌の汗を吸い俺を落ち着かせる。
頭の中でイメージをする。
取り出し、差し向け、止めの言葉。
それだけの事だ。
何度も頭の中でシミュレーションした一連の流れ。
心臓が近いせいか、鼓動の音と連動して神経は高まっていく。
あくまで冷静に。
胸に手を入れたまま一拍おくと、俺は胸から用心棒を素早く取り出し受付の男に向けて言い放った。
『バイブは持ち込みだと無料でゲスか?』
受付はおののいたが…
余談だがおののいたは、おのののかに似ている。
冷徹にも俺に告げた。
『お客様、バイブのオプションは当店の物も持込も有料で二千円でございます。』
俺は落胆の色を悟られまいと、平静を装いながら言った。
あくまで自然に、森の中に木があるように、都会にビルがあるように、海に魚がいるように。
『まあ、初めての店でバイブは止めておくでゲス。そもそも女の子の技量を見るにはこちらが受け手に回らなくてはいけないでゲス。性感マッサージはお客側が致される方であって、しっかりと楽しむにはオプションは不要でゲス。うん。そうだ。オプションは今回は無しにしようでゲス』
俺は受付の男を見た。
―やりきったか?―
表情が読めない。
なかなかのポーカーフェイスだ。
さすが、第一の門番を任されているだけの事はある。
受付の男は眉一つ動かさなかったかと思うと、急に笑顔になった。
『では、女の子お任せで結構ですね。オプションも無しと言う事でご料金は三万一千円を頂戴致します。よろしいですか?』
俺はつくづく受付の男に関心をした。
―こっちがプロなら、こいつもプロフェショナルだ―
バイブ《商品名用珍棒君~ウッドグリップバージョン~という名の》を俺は懐にしまった。
To Be Continued・・・
店長ブログ一覧に戻る 店舗TOPに戻る