2024/02/27 12:33

俺は財布を取りだすと、提示された取引金額をカウンターの上に置いた。
『出来れば、領収書を欲しいでゲス。』
裏の店に対してが淡い期待だ。
だが手に入れば依頼主、いや正しくは依頼主のワイフ。
つまりは社長の嫁の経理係がものさえあれば対応をしてくれる筈だ。
この紙切れ一枚で天国行きのバスに乗れるか、地獄に落ちるかが決まる。
受付の男はやはり笑顔で俺に答える。
『大変申し訳ございません。領収書を今切らせております。この後ご用意しましてお部屋にお伺いする女性に持たせてお渡し致します。よろしいでしょうか?』
地獄の釜が開きかけていたが、直前で思い留まってくれた様だ。
俺はゆっくりとうなずいて言う。
『では、女の子から領収証を貰うでゲス。この後はホテルで待っていればいいでゲスね?』
受付の男はその言葉を聞くと、
カウンターの下からおもむろに何か取り出して、そのままカウンターの上に置いた。
見て見ると、それは店周辺が簡素に描かれた地図だった。
ちょうどその地図の真ん中あたりの一帯だけ色が変わっている。
おっと、言い忘れたがもちろん地図はラミネートされてある。
受付の男は色の違うその場所を手で示す。
『こちらの辺りですが、場所はお分かりになりますか?』
この男は俺をおのぼりさんか何かと勘違いをしているのだろうか?
―ふっ。池袋のマップは大体頭に入っている。ただし、裏通りに限るがな―
もちろん、示された場所をわかっている俺は頷いた。
受付の男はさらに続けた。
『では、こちらにあるホテルマハラジャかホテル秘宝館にお入り下さい。ホテル代込みのプランでご利用頂けるホテルになります。並んで建っていますので、どちらに入って頂いても結構です。』
受付はさらに続ける。
『フロントでこの地図お持ち頂くとそのままお部屋の鍵がもらえます。入室されましたらお電話でホテル名と部屋番号をお伝え下さい。』
俺は話を聞き終わると静かに頷いた。
こんな場所とは一刻も早くおさらばだ。
踵を返し、受付を背にドアから出て行こうとドアノブに手をかけた時だった。
『お客様っ』
受付があわてて叫ぶ。
俺はゆっくりと振り返った。
『女の子が伺うまでにこちらにご記入をお願いします。』
受付の男が一枚の紙切れを差し出している。
俺はその紙を受け取ると、軽く折ってポケットに突っ込んだ。
名刺二枚くらいのサイズだろうか?
いや三枚くらいか?
違うな、確かB3サイズとかだったか?
いやそれよりは小さい気がする。
ならばA5か?
違うな?
やはり名刺二枚分か?
―くっそ、とにかく紙だ。面倒くさい大きさの紙だ!―
俺はようやくドアから外に出る事にした。
To Be Continued・・・
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