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スタッフYが実際に体験した怖い話

2026/01/19 12:00

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一人で海外旅行にもいき、バイクのツーリングが好きなアクティブでフットワークの軽いスタッフYは、約10万円ほどする新品のイヤホンとマイク付きのヘルメットを購入しました。

そのウキウキした気持ちもあってか、ある日突然「下道で岐阜から金沢までバイクで行こう」と思い立ちました。
思いついたら即行動、次の日が休みということもあり仕事終わりの夜中0時に岐阜を出発しました。

出発して最初の方は快適な綺麗な国道を爽快に走っていましたが、すぐに峠越えの過酷さを身に染みることになります。
まったくすれ違わない車、白いガードレールの奥は急斜面の崖、街頭一つない暗闇をひたすらすすんでいくうちに怖くなってきたYさんは、新しく買ったヘルメットの機能をさっそく使ってスタッフUと電話をしながら峠越えを目指していました。

電話が繋がった瞬間、イヤホン越しに聞こえてきたスタッフUの少し眠そうな声に、Yさんは思わず安堵の息をつきました。

「今どこ?」
「岐阜の山の中。いや、ほんとに山しかない…」

ヘルメットの中で自分の声が妙に反響して聞こえます。エンジン音と風切り音、その隙間に入り込む虫のぶつかる乾いた音。Uは軽い調子で相槌を打ちながら、Yさんの独り言に近い実況を聞いていました。

「さっきからさ、全然車来ないんだよ」
「夜中だし、そんなもんじゃない?」

そう言われても、異様な静けさは消えません。ライトに照らされるのは、白線とガードレール、そしてその向こうの“何も見えない黒”。スピードを落とすたび、闇がじわりと迫ってくるような錯覚に襲われます。

その時でした。

カーブを抜けた先、ライトの端に“何か”が一瞬だけ映りました。

「今、なんかいた」
「鹿じゃない?」

Uは即答しますが、Yさんの背中には冷たい汗が流れていました。鹿にしては高すぎた。細長くて、直立していたような…。

「立ってたんだよ」
「え?」
「二本足で」

電話の向こうが一瞬、静かになります。Uが冗談めかして言おうとしたその時、Yさんの視界に再びそれは現れました。

今度ははっきりと。

ガードレールの内側、崖の手前。ライトに照らされたそれは、白っぽく、やけに痩せていて、こちらを“見ている”ようでした。顔は逆光で分からないのに、視線だけは確実に感じる。

「U…止まってる。人…いや、人じゃない」

言葉にした瞬間、それは一歩、ガードレールに近づきました。

Yさんの喉がひくりと鳴ります。ブレーキをかけるか、アクセルを開けるか、判断がつかない。ヘルメットの中で、自分の呼吸音だけがやけに大きく響きます。

「Y、聞こえる? とりあえず止まるな、行け!」

Uの声で我に返ったYさんは、反射的にアクセルを強く捻りました。エンジンが唸り、風が一気に体を叩きます。すれ違いざま、ほんの一瞬だけ横目で見えた“それ”の顔は――

笑っていました。

カーブを抜け、視界から完全に消えたところで、Yさんはようやく悲鳴のような息を吐き出しました。

「今の、絶対鹿じゃない…」
「……なあY」
「なに」
「さっきから言おうか迷ってたんだけどさ」

Uの声が、少しだけ低くなります。

「その峠、昔“出る”って有名だったとこだよ。二本足で立って、夜中にバイクだけ狙うやつ」

ヘルメットの中で、Yさんの世界は一瞬、真っ白になりました。

その後、金沢には無事に着いたそうです。
ただしYさんは、それ以来――
夜中の峠を一人で走ることはなくなり、あの高級イヤホンも「怖すぎるから」と、今は昼間しか使っていないそうです。 店長ブログ一覧に戻る 店舗TOPに戻る

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